AWSコスト最適化ガイドブック
Cloud Financial Management (CFM)
AWS が提唱しているクラウド利用費用最適化を進めるためのフレームワーク、実践の4つの柱を持つ。
- クラウド利用費用の可視化
- クイックウィン最適化(迅速なクラウド利用費用削減)とアーキテクチャ最適化(中長期的な視点でのクラウド最適化)
- クラウド利用費用の予測と次年度の予算策定のための予測に基づいた計画
- 持続的なクラウド最適化を推進していくための FinOps
1. クラウド利用費用の可視化
クラウド利用費用に対する責任の所在を明確にする。 利用費用のデータ取得と分析を通して投資対効果を把握し、適切なIT投資・リソース配分を決定する。
2. クイックウィン最適化とアーキテクチャ最適化
クラウド利用費用を可視化したうえで、ワークロードの特性を評価し、段階的かつ定期的に見直しを行う。
最初のアクションがクイックウイン最適化になる。その6つが該当する。
- インスタンス選定
- 購入オプション選定
- 不要リソース停止
- スケジュール調整
- ストレージ選定
- ライセンス最適化
中長期的な計画として TCO を最適化していくには、アーキテクチャの観点が不可欠。 ネットワークアーキテクチャとクラウドネイティブサービス(マネージド型サービス / サーバーレス) の利用による既存アーキテクチャの最適化が重要になる。
ネットワークアーキテクチャ
可用性やネットワークの遅延等の各非機能要件とクラウド利用費用の両方を適切に評価し、データ転送に係る費用体系の原則を理解する。
- インターネットからのインバウンド通通が無料、 アウトバウンド通信なら有料
- 同一の AZ 内の通信は無料、AZ 間の通信は双方向で有料
- リージョン間の通信はインバウンドは無料、アウトバウンドは有料
- その他、ゲートウェイサービスの利用費用の費用体系を押さえる。
クラウドネイティブサービス
クラウドを活用することで、運用・拡張性、そして回復力を確保し、運用工数を削減し、生産性を向上させ、ビジネスの柔軟性を高める。 利用者が設定や保守作業に費やす時間を減らすために、システムを疎結合化し、コンテナサービスやマネージド型サービス、サーバーレスを活用したアーキテクチャを検討する。
3. クラウド利用費用の予測と次年度の予算策定のための予測に基づいた計画
クラウド利用費用を予測し、年次予算策定の計画を立てる。
従来のオンプレミス環境では、ハードウェアの調達計画は中長期間にわたって行われるが、クラウドでは必要な時に必要なリソースを利用できるため、過剰支出を避けることができる。需要の変化に柔軟に対応することで、適切なリソースを効率的に構築できる。
一方、クラウドでは予測が難しく、予算計画と実際の支出との差異が相対的に多く発生するので、予測スパンを短くし、予実差異が生じた場合には迅速に原因を特定し、予測の見直しを行うことが重要になる。
4. 持続的なクラウド最適化を推進していくための FinOps
持続的なクラウド利用費用最適化を実現するには、個々のアプローチの仕組み化が必要となる。
- ビジネス戦略に基づいたアーキテクチャ最適化の検討
- 手動作業の排除と自動化の推進( AWSサービスやサードパーティー製品の活用 )
- クラウド利用費用の可視化とガバナンスの構築
- IT・クラウド利用のビジネスへの貢献を可視化する仕組みの確立
- FinOps の実践によるクラウド最適化